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離婚・婚姻費用分担

離婚給付等契約公正証書

 協議離婚に当たって,子の親権・監護権のほか,子の養育費,慰謝料,財産分与などについて,話し合っておく必要があります。これらについて,お二人で合意ができた場合,これを公正証書にしておくと,その実行を確実なものとすることができます。
 用意していただくものは,お二人の印鑑登録証明書(3か月以内のもの)と実印,戸籍謄本(夫,妻,子供の記載があるもの。離婚届を出している場合には離婚後のそれぞれの戸籍謄本。)。以下の養育費,慰謝料,財産分与の合意に関するメモ。財産分与の目的となる財産の資料(不動産を給付するのであれば,登記事項証明書やローンの支払いに関する資料など)。
 
① 養育費
例えば「夫は妻に対して,平成○○年○月から,子が満20歳に達する日の属する月まで,1か月金○万円ずつの支払義務があることを認め,毎月末日限り,妻の指定する金融機関の預金口座に振り込んで支払う。振込手続費用は夫の負担とする。」という合意をします。養育費を支払う期間は,高校卒業時まで,大学卒業時までとすることもあります。子供が数人いらっしゃる場合,子供ごとに養育費を支払うことになるのであり,まとめていくら支払うという合意はできません。
 
② 慰謝料
夫婦の一方から他方に対して,離婚のために与えた精神的苦痛に対する賠償金の支払いです。離婚後の生活の経済的不安に対する補償という意味を含めて合意されることもあります。
まず,慰謝料の総額について合意していただき(例えば,300万円),それを一括で支払うのか(平成○○年○月○日限り),分割して支払うのか,合意していただきます。分割して支払う場合は,例えば,300万円を毎月4万円ずつ,毎月末日限り,75か月で支払うと定めます。分割払いの場合,「2か月分(8万円)が滞ったときは,残金を一括して直ちに支払う」という約定を設けておけば,支払いが滞った都度,何度も強制執行をする必要がなくなります。いずれにしても,お二人でよく話し合う必要があります。
 
③ 財産分与
婚姻中にお二人で築いた財産について清算する合意です。②と同様に,離婚後の生活の経済的不安に対する補償という意味を含めてされることもあります。例えば,夫名義の不動産を,妻に財産分与として移転したり,夫名義の車を,妻に財産分与として移転するなどです。財産分与として,給付する財産について合意した上でお越しください。
なお,夫名義の住宅ローンが残っている不動産を,財産分与として妻が取得する場合には問題があります。財産分与により妻への移転登記をすると,ローン支払中の名義移転ということで,住宅ローン契約上の「期限の利益喪失条項」というものに該当し,ローンを打ち切られ,残金の一括払いが求められるおそれがあります。まず,住宅ローンの債権者(銀行など)と協議し,承諾をもらっておく必要があります。住宅ローンの債権者からは,妻への移転登記は,ローン完済後にするようにと求められることもあるようです。
 
④ 面会交流
親権者でなくなった親が,子に面会し交流することについて,親権者が認める合意です。例えば「妻は,夫が子と面会交流することを認める。面会の具体的な日時,場所,方法等は,双方が子の利益を優先して考慮しながら協議して定める。」といった定めを置くことになります。
 
⑤ 清算条項
例えば「夫及び妻は,本件離婚に関し,以上をもって全て解決したものとし,今後は慰謝料,財産分与等名目の如何を問わず,互いに何らの財産上の請求をしない。」といった合意を記載することです。ただし,養育費については,清算条項の対象にはなりません。このような条項を置くかどうかもお二人でよく話し合ってください。
 
⑥ 上記の事項について合意ができない場合
公正証書を作成できるのは,上記事項について,お二人が合意できている場合です。合意ができていない場合には,家庭裁判所に離婚調停を申し立てて,その中で話し合う必要があります。調停によっても合意ができない場合には,裁判(家事審判又は離婚訴訟)で決着をつけるということになります。
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